MyEnigma

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ロボティクスを学ぶのにおすすめの書籍・資料


確率ロボティクス (プレミアムブックス版)

目次

はじめに

最近、知り合いに

ロボティクスを学ぶのにおすすめの資料は何?

と聞かれることが多くなってきたので、

一度、記事としてまとめておきたいと思います。


自分の専門が車両の自動走行なので、

内容が偏っているとは思いますが、

参考にしていただけると嬉しいです。


まずは個人的にロボティクスの3大聖書だと思っている資料からです。

『Probabilistic Robotics』(確率ロボティクス) Sebastian Thrun 他


確率ロボティクス (プレミアムブックス版)


この本はまさに自分にとっての聖書です。

大学の研究室でこの本に出会ってから人生が変わりました。


確率・統計的な手法を

ロボットの自己位置推定や周辺環境認識に取り入れ、

様々なノイズにさらされる実環境でも、

安定して利用できるロボットシステムの実現する

最新の研究結果をまとめた書籍です。


現在、自律移動システムで当たり前に使用されている

カルマンフィルタやパーティクルフィルタなどを

式の導出から、ロボットへの応用まで詳しく説明しています。


また、最近のロボティクス技術の代名詞である、

SLAM技術を初めて体系的に説明した書籍であるとも言えます。

(SLAM技術に関しては、下記の記事を参考してください)

myenigma.hatenablog.com


この本を初めて読んでから、既に5年以上経っていますが、

未だに読み返しても、様々な学びが得られます。


この本は翻訳されており、一時期絶版だったのですが、

Kindle版として帰ってきました(^^)。

素晴らしいことです。

 

また、『Probabilistic Robotics』の翻訳者である上田先生が

Pythonの実際のコードを使ってこの分野を学ぶことができる書籍を書かれています。

こちらからスタートするのもおすすめです。


詳解 確率ロボティクス Pythonによる基礎アルゴリズムの実装 (KS理工学専門書)

 

下記の記事は『Probabilistic Robotics』関連の記事ですので、

『Probabilistic Robotics』を読んでいる方は参考にどうぞ。

myenigma.hatenablog.com

 

『パターン認識と機械学習』C.M. ビショップ


パターン認識と機械学習 上


パターン認識と機械学習 下 (ベイズ理論による統計的予測)

この本は、ロボティクス技術の中で重要な、

機械学習・パターン認識の分野において、

聖書だと言われている本です。


この一冊をマスターするだけで、

かなり広い古典的な(深層学習外)機械学習の分野を理解することができると思います。


ロボットだけでなく、データ解析技術の書籍としても

有名な一冊です。


この本の原著のタイトルが

『Pattern Recognition and Machine Learning』であるため、

頭文字を取って、よくPRMLとも呼ばれています。


しかし、『Probabilistic Robotics』と同様に、

内容は高度なので、ある程度の事前知識と、

読み切る決意が必要になると思います。

しかし、このPRMLをひと通り読めるようになると、

『Probabilistic Robotics』もかなり読みやすくなると思います。

『Principles of Robot Motion: Theory, Algorithms, and Implementations』Howie Choset


Principles of Robot Motion: Theory, Algorithms, and Implementations (Intelligent Robotics and Autonomous Agents series)

『Probabilistic Robotics』と『PRML』は、

主に、ロボティクスにおける認識系技術の書籍ですが、

こちらの書籍は、ロボットの経路生成や制御の技術をまとめたものです。


様々な機構をもつロボットにおける、

安全な経路生成技術や、

経路情報に基づく、制御技術などが

うまく一冊の本にまとめられている珍しい書籍です。


『Probabilistic Robotics』と『パターン認識と機械学習』、

そして、この『Principles of Robot Motion』の内容を理解することにより、

周辺環境と自己位置の認識に基づく、安全な経路生成と経路追従を実現できる

一連の自律移動システムを構築することができると思います。


残念ながら、素晴らしい本ですが、

上記の2冊と異なり、

日本語訳はまだ発売していないようです。

(日本のロボティクス技術のために、どなたか翻訳をお願いします。。。)


どんなに推定や認識を精密に実現できても、

思った通りにロボットを制御できなければ、

素晴らしいシステムだとは言えないと思っているため、

この本に書かれている技術は非常に重要だと思います。


下記の記事は、主に経路生成に関する記事をまとめたものです。

myenigma.hatenablog.com

『マンガでわかる統計学シリーズ』高橋 信


マンガでわかる統計学


マンガでわかる統計学 (回帰分析編)


マンガでわかる統計学 因子分析編

前述の3冊の書籍は、

最新のロボティクス技術の研究結果を説明した書籍ですので、

そのような技術でよく使用されている

統計的・確率的な基礎知識が乏しいと、

理解するのが難しいという問題があります。


そこで基礎的な統計学を学ぶのにおすすめなのが、

このマンガでわかる統計学シリーズです。


見た目はかなり人を選ぶものになっていますが、

内容は非常にわかりやすく、

初歩的な部分から、

因子分析など応用的な部分まで広く取り扱っています。


また、このシリーズは様々な人が、

統計学を一から学ぶのに有効であると推薦しています。


このシリーズをひと通り読むことで、

統計学の基礎的な部分をひと通り網羅することができると思います。


このシリーズの詳しい説明と、

演習用のExcelファイルに関しては、下記を参考ください。

myenigma.hatenablog.com

『図解・ベイズ統計「超」入門』涌井 貞美


図解・ベイズ統計「超」入門 (サイエンス・アイ新書)

 

上記の『マンガでわかる統計学シリーズ』は

統計学の入門書ですが、

『Probabilistic Robotics』を理解するために、

もう一つ重要な知識が、ベイズ統計・ベイズ推定の知識です。


『Probabilistic Robotics』で紹介されている技術は、

基本的にベイズ推定をベースとしており、

『マンガでわかる統計学シリーズ』にはベイズ推定は含まれていないため、

他の書籍でベイズ推定の基礎を学ぶ必要があります。


そこでおすすめなのが、

この『図解・ベイズ統計「超」入門』です。

ベイズ推定は、最初にイメージで理解することができると、

応用例を学ぶのがかなり簡単になると思います。

この本は、図などを使って、

かなりわかりやすくベイズ推定を説明してくれています。


この一冊を読むことで、

『Probabilistic Robotics』で利用されている各技術の

イメージをつかみやすくなると思います。


この書籍とベイズ推定に関しては、

下記の記事も参考にしてもらえると良いと思います。

myenigma.hatenablog.com

『プログラミングのための確率統計』平岡 和幸,堀 玄


プログラミングのための確率統計

上記の『マンガでわかる統計学シリーズ』と『図解・ベイズ統計「超」入門』は、

かなり基礎的な内容の書籍ですので、

最初にイメージをつかむには最適だと思いますが、

実際にPRMLなどで使用される確率・統計的な手法は網羅していないため、

橋渡しのために、他の書籍で学習する必要があります。


そのような場合におすすめなのがこの書籍です。

基礎的な内容から一歩進んで、

『Probabilistic Robotics』などでよく使用される

離散値の確率密度関数や、期待値、統計的検定、ベイズ定理の応用などを

非常にわかりやすく説明しています。


タイトルに”プログラミングのための”とありますが、

詳しい数学的な議論はある程度省略し、

その手法の概念的な意味と、

それを応用する方法をわかりやすく説明しています。

したがって、統計・確率的手法を手段として利用し、

ロボットシステムを作り上げたい人にとっては、

良い書籍であると思います。

『Introduction to Applied Linear Algebra: Vectors, Matrices, and Least Squares』Stephen Boyd, Lieven Vandenberghe


Introduction to Applied Linear Algebra: Vectors, Matrices, and Least Squares

前述のすべての技術は、

線形代数をベースにしていると言っても過言ではありません。

したがって、ロボットで利用される技術を深く理解するには、

線形代数を学び、その知識を元に応用する必要があります。

myenigma.hatenablog.com

 

そこで実際にロボットに応用できる線形代数を学ぶ上でおすすめなのが、

次のおすすめ本の著者でもある

スタンフォード大学のBoyd先生が2018年に出版した

『Introduction to Applied Linear Algebra: Vectors, Matrices, and Least Squares』

です。


こちらの本は、ベクトルから行列などの基礎から、

線形代数の領域で最も実世界に応用されている技術の一つである

最小二乗法にフォーカスした教科書です。


内容は英語でありながら非常にわかりやすく、

また演習問題がJuliaのコードとして提供されているため、

様々なアルゴリズムを深く利用することができ、

また自分が解きたい問題に利用しやすい形になっています。


実際のシステムに使える線形代数の知識を得たい場合は、

非常におすすめです。

この教科書に関しては下記の記事を参照ください。

myenigma.hatenablog.com


また、最近こちらの本の日本語訳も発売されました。


スタンフォード ベクトル・行列からはじめる最適化数学 (KS情報科学専門書)

『Convex Optimization』Stephen Boyd, Lieven Vandenberghe


Convex Optimization

前述の通り、ロボティクスの重要な技術として、

確率・統計の技術も重要ですが、

もう一つよく利用されるのが最適化技術です。

特に、ロボティクスにおいては、

経路生成や制御などでよく利用されます。


最適化技術は非常に特殊な数式の表現をしているので、

はじめはかなり面食らうと思いますが、

その最適化技術の中で広く使われる凸最適化を

基礎からわかりやすく説明しているのが、

こちらの書籍です。


海外の有名大学では(スタンフォード大学やUCバークレーなど)

授業の教科書として使われており、

凸最適化のバイブルのような扱いを受けています。


残念ながら、和訳の本がありませんが、

十分わかりやすく書かれているので、

基礎から最適化を学びたい人にはおすすめです。


最適化技術に関する概要は下記の記事も参照下さい。

myenigma.hatenablog.com

『自動車の運動と制御』安部正人


自動車の運動と制御 第2版─車両運動力学の理論形成と応用


最新のロボティクスの制御技術では、

より精密な制御を実現するために、

制御対象のロボットを精密にモデル化したものを利用して

制御するシステムが広く使われています。


つまり、車両型のロボットを精密に制御するために、

車両ダイナミクスの知識が必要です。

この『自動車の運動と制御』は、車両ダイナミクスに関する名著で

自動車技術の分野でも有名な書籍です。


車両の制御に欠かせない、タイヤの力学から、

車両の運動・力学モデルの説明、

ステアリング制御における制御特性、

外乱に対する車両の振る舞いなど、

非常に広い範囲の知識が一冊にまとめられています。


この本の技術を元に、

車両ロボットの制御システムを構築することにより、

より精密な制御システムを実現することが可能になると思います。


ロボティクスで使用することが多いと思われる

車両ダイナミクスの基礎知識に関しては

下記の記事を参照下さい。

myenigma.hatenablog.com

『Vehicle Dynamics and Control』Rajesh Rajamani


Vehicle Dynamics and Control (Mechanical Engineering Series)

前述の『自動車の運動と制御』は、

自動化に関わらない車両ダイナミクスの一般的な書籍ですが、

ACCやレーンキーピング、ヨーモーメントコントロールなど、

自動車の自動運転に関わるシステムや車両モデルに特化した書籍として、

こちらの『Vehicle Dynamics and Control』もおすすめです。

英語の書籍ですが非常にわかりやすく、

この一冊だけで、簡単なACCやレーンキーピングの

制御システムは実装できると思います。


上記のシステムで使われている、車両のモデルの導出などは

その他の様々なシステムでも応用可能です。

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『SLAM入門: ロボットの自己位置推定と地図構築の技術』友納 正裕


SLAM入門: ロボットの自己位置推定と地図構築の技術

この本は、日本のSLAM研究の第一人者である友納先生が書いたSLAMの入門書です。

SLAMは特に屋内ロボティクスのナビゲーションや、

屋外ロボット用の地図作成のために使用される技術です。

(SLAMに関しては、下記の資料を参照ください

myenigma.hatenablog.com)

この本は、SLAMを技術的な概要だけでなく、

実際のC++のコードを元にSLAM技術を学ぶことができます。


この本はタイトルとしては、SLAM入門ですが、

SLAM以外のロボットの自律移動全般に関する技術や、

必要な数学を網羅的に学ぶことができるのが特徴的です。


前述の『Probabilistic Robotics』は、

いきなり数式で技術を議論するため、

初心者は戸惑うかもしれません。

しかし、先にこの『SLAM入門』を読んでおくと、

数式をプログラミングで実装する方法を学ぶことができ、

『Probabilistic Robotics』の数式を実際にコーディングする時に

かなり役に立つと思います。

『ジャイロ活用技術入門―その原理・機能・応用のポイントを詳述 』多摩川精機編集


ジャイロ活用技術入門: その原理・機能・応用のポイントを詳述

 

ロボットにとって最も広く使われる内界センサは、

ジャイロや、加速度計で構築されるIMUだと思います。

IMUを使って自己位置推定を実施する時、一番問題になることは、

ジャイロや加速度計のバイアス誤差やスケールファクタ誤差などの、

ジャイロセンサ特有の振る舞いです。

上記知識が無ければ、

精密なロボットの位置や姿勢を推定することは難しくなります。


上記の資料は、ジャイロセンサの製造元として有名な、

多摩川精機の技術者が書いた、ジャイロや加速度センサに関する名著です。

ジャイロや加速度センサの原理や、計測誤差の分類と振る舞い、

そして、ジャイロや加速度センサの応用例などがわかりやすく書いてあります。

IMUを使いたい人が、初めに読む本としておすすめです。

 

IMUの概要については、下記の記事も参照下さい

myenigma.hatenablog.com


『Code Complete 第2版 上下 完全なプログラミングを目指して』スティーブ マコネル


【電子合本版】Code Complete 第2版 完全なプログラミングを目指して

 

これまで紹介してきた書籍はすべて、

ロボティクスの技術や、それを実現するための学術的な内容の書籍でしたが、

きちんと利用することができるロボットシステムを開発するためには、

それらの技術をソフトウェアとしてきちんと実装することができる

プログラミング能力が必須になります。


最近のロボットは、

様々なプログラミング言語やフレームワーク上で実装されることが多いため、

個々の開発環境に応じて、必要となるプログラミング技術は異なると思います。


しかし、どのような開発環境においても必要となる、

基礎的なプログラミング技術を包括的に学ぶことができる書籍として、

この『Code Complete』をおすすめしたいと思います。


この書籍は、

ソフトウェアの設計から、実装、テスト、デプロイまで、

素晴らしいソフトウェアをつくるための技術を包括的に説明してくれています。


この書籍のはじめに書かれている通り、

実際のソフトウェア開発に関する様々な研究結果を元に、

データとして有効であると証明された方法を紹介しているところが

素晴らしいと思います。


また、ソフトウェア開発の初めのステップから、

最後のステップまでに必要な知識を網羅しているため、

この本をひと通り学ぶことで、

ある程度の規模のソフトウェアを一人で実装できるようになると思います。


あとは、自分の開発環境に適した書籍を数冊読むことで、

ある程度のロボットソフトウェアシステムを実装することが可能になると思います。


この書籍の詳しい説明は下記の記事を参照ください。

myenigma.hatenablog.com


また、『Code Complete』以外にも、

メンテナンスしやすいコードを書くための技術を学ぶ本としては、

  • 『リーダブルコード』

myenigma.hatenablog.com

  • 『達人プログラマ』

myenigma.hatenablog.com

  • 『Java言語で学ぶリファクタリング入門』

myenigma.hatenablog.com

もおすすめです。

『問題解決力を鍛える!アルゴリズムとデータ構造』 大槻兼資, 秋葉拓哉


問題解決力を鍛える!アルゴリズムとデータ構造 (KS情報科学専門書)

ロボットで動くソフトウェアは、

限られたリリースを使って、限られた時間内に、

計算を完了しないといけない場合が多いです。

そのような場合に重要なことが、

適切なアルゴリズムとデータ構造を選択することだと思います。

正しい、アルゴリズムとデータ構造を選ぶことで、

大量の入力に対しても、高速に必要な計算を実施することができます。

こちらの書籍は、そのようなソフトウェアにおける

アルゴリズムやデータ構造を基礎から学ぶことができる素晴らしい書籍です。

計算量の見積もりから、配列、リスト、ハッシュマップ、Treeベースのデータ構造など、

どのアルゴリズムを実装するにしても、知っておいたほうが良い基礎がまとまっています。

『エキスパートPythonプログラミング 改訂3版 (アスキードワンゴ)』Michal Jaworski, Tarek Ziade, 稲田 直哉, 芝田 将, 渋川 よしき, 清水川 貴之, 森本 哲也


エキスパートPythonプログラミング 改訂3版 (アスキードワンゴ)

ロボットに組み込むコードは、C/C++/Rustであることが多いですが、

ログデータを元にロボットの動きを可視化して解析したり、

ロボットを操作する画面を作ったり、

などではPythonを使うことが多いです。


そこでPythonプログラミングを学ぶ時におすすめなのがこちらの書籍です。

初心者向けではなく、中級者向けの書籍ですが、

他の人と共有するPythonコードを書く場合に必要な、

Pythonのパッケージングや、C/C++との連携、テスト、ドキュメンテーションなど、

一通り書かれており、素晴らしい書籍だと思います。

おそらく他の言語をメインで書いている人にも参考になる内容が多いと思います。

 

『実用ロボット開発のためのROSプログラミング』西田 健,森田 賢,岡田 浩之,原 祥尭,山崎 公俊,田向 権,垣内 洋平,大川 一也,齋藤 功,田中 良道,有田 裕太,石田 裕太郎


実用ロボット開発のためのROSプログラミング

先ほどの『Code Complete』はプログラミング全般的な内容ですが、

ロボット専用のプログラミング技術というもの重要です。


近年、ロボットの機能が増大し、

その結果ロボット用のソフトウェアも巨大化&複雑化してきているため、

ロボット用ソフトウェアフレームワークを

使用することが一般的になってきています。


その中でも世界的に最も広く使用されている

ロボット用ソフトウェアフレームワークが、

Robot Operating System (ROS)です。


このROSを使うことで、

大規模なロボット用ソフトウェアを作成するのが容易になったり、

他の研究機関などがが作成した、ROSソフトウェアを

簡単に利用できるようになります。


ROSは米国で開発されているシステムであるため、

先ほどのリンク先のような英語での資料がメインですが、

近年、いくつか日本語の書籍も発売されており、

その中でもおすすめなのが、この本です。


今後、ロボット工学を学ぶ場合には、

ROSのようなロボットフレームワークの知識は必須だと思いますので、

まず初めの導入として日本語で書かれたこの書籍をおすすめしたいと思います。

 

この書籍の詳しい説明に関しては下記の記事を参照下さい。

myenigma.hatenablog.com

『まんがでわかるLinux シス管系女子』 Piro(結城洋志)


まんがでわかるLinux シス管系女子 (日経BPパソコンベストムック)


まんがでわかるLinux シス管系女子2(日経BPパソコンベストムック)


まんがでわかるLinux シス管系女子3 (日経BPパソコンベストムック)

 

近年のロボットのソフトウェアは、

前述のROSのように、Linuxの上で動くことが多いです。

以前までは、組み込みソフトウェアとして

ロボットのソフトウェア作成することが多かったようですが、

近年は処理の複雑化により、Linuxなどが走る

ハイエンドのコンピュータを搭載したロボットが多くなってきました。


そのようなロボット用の複雑なソフトウェアを作成する場合、

基本的なLinuxの使い方を習得することが重要になりますが、

コンソールエディタや、パイプ、シェルスクリプトなど、

通常のGUIでコンピュータを使っていると、

馴染みの少ない事柄を色々学ぶ必要があり、

自分も学生の時は、慣れるまで時間がかかりました。


そのようなLinuxを一通り使えるようになるまでの、

基礎的な内容をマンガで説明してくれるのが

上記の書籍です。


vimの使い方から、grep, cat, sedなどのツールをパイプで繋ぐ方法、

基本的なシェルスクリプトの書き方から、様々な自動化など、

ロボットのソフトウェア開発を効率的にする様々なテクニックが

分かりやすく書かれていて、非常に良いと感じました。


特に、それぞれの物語が、

主人公が何か困ったことが発生する所から始まるため、

なぜそのような技術が必要なのかがわかりやすく、

非常に理解しやすかったように感じました。


この本はおそらくシステム管理者向けの本だと思いますが、

上記の書籍は、Linuxを使う人であれば、

誰でも役に立つ内容だと思います。

 

『マスタリングTCP/IP 入門編 第5版』 竹下 隆史他


マスタリングTCP/IP 入門編 第5版
 

最近のロボットは、

ロボット単独だけでなく、

サーバとつながったり、

インターネットと繋がって、

より複雑な機能を実現することが多くなってきました。


また、ロボット用のセンサの高機能化により、

センサのデータ量が増加し、

その結果、センサデータ通信に

Ethernetのソケット通信を使用するセンサが増えてきています。


そこでロボットが

外部のコンピュータやセンサと通信するのに

一般的に使用されるのがTCP/UDP通信です。

個人的に、ロボットを開発する人にとって、

最低限のTCP/UDP通信の知識は

必須になってきていると感じています。


そのようなTCP/UDP通信を基本とした、

近年の通信技術をまとめた書籍としておすすめしたいのが、

この『マスタリングTCP/IP 入門編』です。


タイトルにTCP/IPと書かれていますが、TCP/IPだけでなく、

近年の通信モデルの基礎となる、OSI参照モデルに基づく、

通信技術を包括的に学ぶことができます。


この書籍は、ロボット技術だけなく、

現代のソフトウェアエンジニアとしての基礎的な素養を学ぶことができる名著として

様々な人から推薦されています。


実際に、LinuxにおいてTCPソケット通信を実現する方法に関しては、

下記の記事を参考にしてください。

myenigma.hatenablog.com


『Web API: The Good Parts』 水野 貴明


Web API: The Good Parts

 

近年のロボットは、ただそのロボットが賢く動くだけではなく、

例えばエレベーターや自動ドアなどのインフラとの連携や、

クラウド上のシステムと連携して、

与えられたタスクをこなす必要があります。

そのような他の会社のシステムなどと連携するときに、

よく使われるのがWeb APIです。

 
この書籍は、一般的なWeb APIを設計するうえで

重要な事項がわかりやすく、コンパクトにまとまっています。

この一冊を読むだけで、Web APIを使う側でも、APIを提供する側としても

基礎を学ぶことができると思います。

 

Udacityのクラス 「Artificial Intelligence for Robotics Course」

Udacityは、冒頭のおすすめ資料である

『Probabilistic Robotics』の著者である

Sebastian Thrun氏が始めたオンライン授業のサービスです。

Thrun氏の専門がロボティクスであるということで、

Google Carを作る方法という題目で、

基礎的なロボティクスの技術を学ぶことができるクラスが

無料で公開されています。


自己位置推定、動的物体のトラッキング、

経路生成、経路追従など、

自律移動技術の基礎的な知識を

実際のPythonコードを作成しながら学ぶことができます。


このコースをひと通り受講することで、

『Probabilistic Robotics』で説明されている技術を

理解しやすくなると思いますし、

実際にソフトウェアに落としこむのが楽になると思います。


この授業を無料で受けられるなんてすごい時代だと思いました。

 

また、こちらのスイスのETHのオンライン授業も、

自律移動の全体像を把握するには素晴らしい内容だと思います。

 

『PythonRobotics: Python sample codes for robotics algorithms』Atsushi Sakai

手前味噌ですが、ロボットに関わる様々な技術分野の代表的なアルゴリズムを

Pythonで実装して、わかりやすく可視化するOSSプロジェクトをやっています。

github.com

実際に動くコードをいじりながら、アルゴリズムの動きを学ぶことが

自分は一番の勉強方法だと思っていますので、

学びたい分野のサンプルコードを動かしてみると良いかもしれません。


このプロジェクトの当初は自分の専門である自律移動関連のサンプルコードが多かったですが、

最近は様々な分野のコントリビューターのおかげで、

ロボットアームやドローン、二足ロボットのサンプルコードなども追加されました。


また、最近はサンプルコードのドキュメンテーションにも力を入れており、

まだ説明の無いコードも多いですが、

徐々にアルゴリズムの内容なども学べるようなOSSプロジェクトになりつつあります。

https://pythonrobotics.readthedocs.io/en/latest/pythonrobotics.readthedocs.io

大学のロボティクス関連の授業の資料

下記の資料を参照ください。

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最先端の研究論文 Google Scholar

まだまだロボティクス技術の分野は発展途上であるため、

研究論文そのものを参照しなければいけない場合も多いです。


自分の場合は、基本的にGoogle Scholarで論文を探しています。


Google Scholarで調べると

海外の論文はpdfファイルが公開されているものが多いです。


しかし、Google Scholarで日本語の論文を調べると

あまり無料でダウンロードできるものは少ないです。

日本語の論文に関しては、

下記のJ-Stageというサービスから調べると色々無料公開されている論文を探すことができます。

また、ロボット学会や計測自動制御学会の学会誌も公開されています。

一年以上前の資料なら非学会委員でも読むことができるようです。

日本もどんどん研究論文を公開して、

Google検索で引っかかるようにならないかなと思います。

最後に

以上が、自分がこれまで

ロボティクスを学ぶために

実際に読んできて、

よかったと思える資料です。


他におすすめの資料などがあれば、

教えて頂けると嬉しいです(^^)

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