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MyEnigma

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自動車制御のための車両モデル入門

Vehicle Dynamics and Control (Mechanical Engineering Series)

Vehicle Dynamics and Control (Mechanical Engineering Series)

目次

はじめに

以前、

車両ダイナミクスの基礎という記事を書きましたが、

myenigma.hatenablog.com

myenigma.hatenablog.com

 

今回は自動車制御のための、

様々な車両モデリングの方法と

その特徴について説明したいと思います。

 

自動車の代表的なステアリングモデル

まず初めに自動車の代表的な2つのモデルについて述べます。

Kinematic Model

Kinematic Modelは、力学的な関係による車両モデルで、

車両中心をどこに置くかによって、式が変わります。

 

後輪の真ん中を中心とした場合、

Unicycle Modelと呼ばれることが多いです。

f:id:meison_amsl:20170514013105p:plain

Unicycle Modelは非常にシンプルなモデルです。

後輪中心からL (上記の図ではr)離れたステアリングを切ることで、

車両方位が変わり、その方位と車速から位置を更新します。

 

下記がUnicycle Modelの式です。

f:id:meison_amsl:20170514013712p:plain

 

以前紹介したパスプランニングアルゴリズムである、

Dubinsパスもこのモデルをベースにしています。

myenigma.hatenablog.com

 

車両の重心を中心とした場合、

下記の図のように車両のすべり角を考慮します。

f:id:meison_amsl:20170514023448p:plain

 

上記のモデルの場合、

ステアリングを切った場合、

前輪と後輪の速度ベクトルがそれぞれ別々の車輪の方向を向くので、

それらを組み合わせた、車両中心の速度ベクトルは、

車両の方向とは一致しなくなります。

 

そのような状態を力学的(幾何学的)にモデリングしたので、

式は下記のようになります。

f:id:meison_amsl:20170514014614p:plain

 

上記のKinematic Bicycle modelは、

それぞれの車輪のすべり角は考慮していないため、

車輪のすべり角が大きくなる高速域では、

精度が低下してしまいます。

 

一般的に、速度が20km/h以下ぐらいの場合は、

Kinematic Bicycle Modelで十分精度が出るようで、

自動駐車などの制御ではKinematic Bicycle Modelが使用されています。

 

Dynamic Bicycle Model

f:id:meison_amsl:20170514022053p:plain

Kinematic Modelは、

力学的(幾何学的)な関係から導き出されたモデルですので、

高速域で精度が低下してしまいます。

そこで、より精度が高いモデルとして使用されるのが、

Dynamic Bicycle Modelです。

下記の記事で説明した、

すべり角とタイヤの力学から、

コーナリングフォースを規定し、

それらの情報から、運動方程式を使って、

モデルを構築します。

myenigma.hatenablog.com

myenigma.hatenablog.com

 

下記がDynamic Bicycle Modelの更新式です。

f:id:meison_amsl:20170514051159p:plain

 

Dynamic Bicycle Modelは

非常に精度の高いモデルですが、

タイヤのコーナリングスティフネスや、

精密な重心位置などがわかる必要があるため、

パラメータの同定が大変だったり、

式が複雑で計算コストが高いという問題があります。

 

また式を見ると分かる通り、

分母にvxが入っているため、

速度が0の時に計算が出来なくなるという問題があります。

 

2つのモデルの軌跡比較

上記の2つのモデルを使用し、

同じ入力を入れた時の軌跡を比較してみました。

比較のコードはこちらにあります

github.com

 

下記の図は軌跡の比較のグラフです。

f:id:meison_amsl:20170523043114p:plain

Kinematic modelとDynamic Modelを比較すると、

車両のパラメータによって、

軌跡に差が生まれていることがわかります。

 

直線コースにおけるBicycle Modelの線形ステアリングモデル

下記の記事のBicycle Modelは非線形の運動モデルですが、

myenigma.hatenablog.com

 

微少角度の近似と高次元項を無視することで、

線形モデル化することができます。

 

もし、前進速度を状態ベクトルに入れてしまうと、

車両モデルは非線形になってしまうので、

車両モデルを線形するために、

前進速度は定速仮定を置きます。

(制御ループ毎にモデルを更新すれば近似誤差を抑えることができます。)

また、タイヤの挙動も線形であることを仮定します。

(タイヤのモデルに関しては下記を参照下さい)

myenigma.hatenablog.com

 

横方向の運動方程式は下記になり、

回転方向の運動方程式は下記になります。

ここで、定速仮定と前後方向の空力などの力は小さいと仮定すると、

Fxf=Fxr=0とすることができ、

またステアリング角度が小さいとすると、

cosδ=1, sinδ=δと近似できるので、

上記の二式は下記になります。

続いて、前後輪線形タイヤモデルと

すべり角αの定義を使って、

全後輪のすべり角を消去して、

先ほどの式に入れると下記のような

線形モデルを作ることができます。

f:id:meison_amsl:20161110072003p:plain

  

上記の式を離散の差分方程式になると下記のようになります。

f:id:meison_amsl:20161110073550p:plain

 

また、VとV_dot, φとφ_dotの4つを状態ベクトルに入れた場合、

下記のようになります。

(コーナリングパワーが一輪のものになっていることに注意)

f:id:meison_amsl:20170511084728p:plain

 

上記のような車両モデルの線形化は、

下記のような制御ロジックを使うために利用されます。

myenigma.hatenablog.com

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目標コース座標系における線形Dynamic Bicycle Model

前述のDynamic Bicycle Modelの線形モデルを使うと、

ある目標コース座標系における、

横方向と旋回方向の線形モデルを構築することができます。

myenigma.hatenablog.com

 

これは、目標コースが直線だけでなく、

ある旋回半径Rを保つ場合でも対応できます。

 

現在の目標コースをR、前進速度をVxとすると、

その時の旋回速度は下記の式で表現されます。

f:id:meison_amsl:20170511091353p:plain

 

すると、線形化されたBicycle Modelは、

下記のようになります。

f:id:meison_amsl:20170511091648p:plain

f:id:meison_amsl:20170511091708p:plain

 

また、上記のモデルからグローバル座標系での

X,Y座標値は下記の積分計算で計算できます。

f:id:meison_amsl:20170512022240p:plain

 

このモデルは、自動車の自動レーンキービングコントローラなどに

よく使われます。

 

より詳しく学びたい方は

上記の車両のモデリングに関しては、

下記の書籍をベースにまとめました。

Vehicle Dynamics and Control (Mechanical Engineering Series)

Vehicle Dynamics and Control (Mechanical Engineering Series)

 

上記のモデリングを、

一から導出しており、

非常にわかりやすい書籍ですのでおすすめです。

 

参考資料

myenigma.hatenablog.com

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Vehicle Dynamics and Control (Mechanical Engineering Series)

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