もし,誰かに
「なにか確実なことをひとつ言って」
と言われたら,
自分はこう言うでしょう.
と.
村上春樹は正直,自分の趣味ですが,
伊坂幸太郎の作品は
殆どの人が楽しめる作品であるという所がすばらしいと思います.
今回の作品は,
一言で言うと
主人公が首相暗殺の犯人に疑われて,逃げる
という内容ですが,
この小説の価値を高めているのはそこではありません.
小説の中のこの一節が,この小説の価値を生み出していると思います.
「人間の最大の武器は、信頼と習慣だ.」
こんなにも同意できる言葉はないと言えるほど,共感できました.
人を構成するものは
日々の習慣と周りの人との信頼関係である.
こんなに簡単でありながらも,となえられることのない真理を
物語の中心では無い所に置き,
にもかかわらず,読み終わった後には,
物語の価値の殆どがこの言葉に集約していることに気づくという...
この圧倒的な力量,おみそれしました(笑).
学生の時にツルんでいた仲間と,
十数年ぶりに出会いながらも,
一瞬で信頼関係が復活し,
お互いに,思い合い,信頼し合う数々の描写.
なんど泣きそうになったことか...(T_T)(泣)
とりあえず,すばらしい作品です.
残念ながら,
未だに個人的には伊坂作品のナンバーワンは
『重力ピエロ』
ですが,
それに匹敵するぐらい素晴らしい作品です.
オススメです.