MyEnigma

とある自律移動システムエンジニアのブログです。#Robotics #Programing #C++ #Python #MATLAB #Vim #Mathematics #Book #Movie #Traveling #Mac #iPhone

身内に不幸がありまして...:『儚い羊たちの祝宴』


「身内に不幸がありまして...」

どんな重要な約束事でも一瞬で反故にできる魔法の言葉.



遊びでも仕事でも,この言葉を発すれば,

一瞬ですべてを無しにすることができます.


そしてどんな人でも,

例え,急に自分の約束を反故にされたとしても,

まるで自分が悪いかのように,優しく接してくれるのです.

「それは大変だったね...私のことは気にしないで.」

と.


そして,本当に身内に不幸があったかどうかなんて,

決して確認されないものです.

なぜなら,それを疑うこと自体が,

まるで人間の道を外れているかのように,

その人の心を苦しめるからなのでしょう.


この小説の最初の短編

『身内に不幸がありまして』の主人公も

この魔法の言葉に魅了され,

そして現実と想像の世界を混濁してしまいます.


そんなお話.

個人的にはすべての話の中で,この最初の話が一番面白かったです.


最後に,この話を読んで初めに心に浮かんできたのは,

昔読んだ本に出てきた,こんな一節でした.


「僕が嘘をつき始めたのは,ほんの些細な出来事からだったんだ.

 でもすぐに,その嘘を正当化するために,

 また嘘をつかなければならなくなった.

 そしていつのまにか,

 僕は自分がついた嘘を現実にするために,

 再び人生を歩み始めたんだよ.」

 (出典不明)