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教養新書としての名著の誉れ『ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学』



内容まとめ:

ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書) (中央公論社) の要点まとめ〜ブクペ〜




どこかで聞いた話ですが,

ある日,アインシュタインが,

小さな子供に質問をされたそうです.

「ねぇ,相対性理論ってなに?」

するとアインシュタインはやさしく諭すように言いました.

「もし,君が好きな人と一緒にいる時は

 時間があっという間に過ぎていかないかい?

 一方,熱いお風呂に入っている時は,

 短い時間が,ものすごく長く感じられるだろう?

 つまり,時間とは

 それぞれの人やその人の状況によって

 変わるものなんだ.

 それが相対性理論なんだよ.」



この答えが,科学的に厳密に正しいかということはさておき,

一見,不変に見える時間というものが

それぞれの人間や状況に応じて変化するというのは,

日常的にも真理だと感じますし,物理学的にも真理なのでしょう.



そして,それは生物学的にも真理だと,

今回の本は鮮やかに主張するのです.



今回の本,『ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学』は,

生物のサイズ(大きさや体重)と

その他の動物的機能・性能(時間感覚や代謝量,移動速度)の関係について

述べた本です.



著者はこの本の中で,

動物において、何かを行う時間というのはその動物の体重の四分の一乗に比例する。

ということを科学的に証明します.


つまり,身体の大きなゾウと,身体の小さなネズミには,

それぞれ,別々の時間的感覚が備わっていて,

それぞれ別の時間の世界を生きているということです.


その他にも,

人間が発明した車輪やスクリューは,

すべての動物の移動機構の中でも,

最高のエネルギー効率を誇りますが,

なぜ動物はこれらの機構を持たないのか?

という問題や,


どのような哺乳類でも

一生の心臓の拍動数は約20億回で,

呼吸する回数では約5億回であること,


そして,

動物にとって,大きいことと小さいことは

どちらがいいことなのか?

など,

この本は,

素晴らしい問いと事実を惜しげもなく披露し,

読者の知的好奇心をくすぐり続けるのです.


内容的には,非常にアカデミックですが,

にも関わらず,専門外の人間でもドンドン引き込んでいく文章が

この本を教養新書としての名著の誉れを与えているのだと思います.



以前,ブログで紹介した

『生物と無生物のあいだ』も

生物学に興味をもつための

最高の一冊でしたが,

この本も同じくらい素晴らしい本です.



これらの本をもし,高校時代に読んでいたら...

自分の人生は変わっていたかもしれません.


秩序は守られるために絶え間なく壊されなければならない『生物と無生物のあいだ』 - MY ENIGMA