MyEnigma

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珠玉のSF『幼年期の終わり』


こんなに正攻法に面白いSFは生まれて初めてです.

著者のアーサー・C・クラークだと,

『2001年宇宙の旅』

などが有名で,過去に読んだことがありましたが

正直,こちらのほうが断然面白いと思います.




自分がこれまで読んできたSFの中での一番は

『ΑΩ』

ですが,

個人的にはこれに匹敵するくらい面白いです.


しかし,これらの二作は

SFという面と

非常に面白いという所では,同じですが,

内容の方向性はまるで違うと言えます.


例えるなら,

幼年期の終わりは,超正攻法で,

豪速球ストレート

ΑΩは,非常にトリッキーで,

超スローカーブ

といった感じです.




この幼年期の終わりはSFであることから,

読者を楽しませることだけに特化しているように思われますが,

それは全く違います.

もはや,この幼年期の終わりは

SFというジャンルを越えて,

哲学小説と化しており,

読者はその深い問題提起に飲み込まれつつも,

流れに身を任せて,物語を疾走することができます.




また,この小説は読者の感情を縦横無尽に揺さぶります.

SFならではのハラハラ・ドキドキは当然として,

喜怒哀楽のすべてを刺激されて,

最後は,なんとも言えない悲しみと喜び,

そして,開放感を伴う疲労感が身体を包むはずです.




自分が敬愛する三島由紀夫が愛読したことや

エヴァンゲリオンの作品がこの作品に影響されていることは知っていましたが,

その名に恥じぬ名作でした.



何も言わずに

一度読むことをおすすめします.

それほどの名作です.





ちなみに同じSFで有名な作品である.

『虎よ.虎よ.』

も読みましたが,こちらは内容の展開が早く,

飛躍も多くて,正直置いてきぼりを食らった感じです.

個人的には,悪くはないけど,

幼年期の終わりと比べるとやはり,

同じくらい展開が早いとしても,

見劣りしてしまいます.