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すべての人に何故今が存在しているのかを教えてくれる:『宇宙創成』サイモン・シン

読書メモ


先日,サイモン・シンの処女作『フェルマーの最終定理(リンク)』を取り上げたましたが,

今回もサイモン・シンの3作目である『宇宙創成』を取り上げることにしました.

その理由は何故でしょうか?

それはただ一つです.

彼が世界で一番のサイエンスライターであるからです.



彼の著作は,自分が科学を専攻として学んでいることに,喜びをもたらしてくれます.

目の前にある問題を,失敗をしつつも,多くの人と一緒に,喧嘩をしたり涙を流しながら解決していくことは,

人類の一つの強みであり,また我々が将来生き残るための唯一の武器だと行っても良いと思っています.



サイエンスライターという仕事が,

科学技術やそれに関する歴史を,解りやすく一般の人達に伝え,

科学に対する尊敬と畏敬を,子供だけでなくすべての人に与えることとするならば,

サイモンシンほど,その仕事を果たしている人間はいないと思います.

研究者ならずとも,技術力を仕事にしていく定めにある理系学生にとって,

彼の作品は,自分たちの行っていることの正しさを証明するものであり,

私達の心を踊らせ,自分の仕事が将来,世界を変えるようなものであると夢想させるものであると思います.


特に彼の作品は,科学の発展に対して,いくつかの重要なことを教えてくれています.

これは,題材がビックバンだろうが,数学だろうが,暗号だろうが,関係ありません.


まず,一つ目は人間とは間違いを犯す生き物であり,それがある意味強みであるということです.

今回の作品の中にもありましたが,どんなに天才と言われる人であろうと,間違いを犯すということです.

あのアインシュタインも宇宙定数を取り入れるという間違いを犯しました.

しかし,人間の強みはこの間違いを,集団の個体間で是正できるところだと思います.

科学者にはたくさんの種類の人間がいるとよくいわれますが,

その多様性が人間が犯す間違いを是正し常に正しい方向に導くことができるのです.

一方で,このように間違えること自体が人間の多様性を証明していると思います.

このように,人間の多様性と強い集団性が科学技術の貢献に大きな役割を果たしていることを

この作品は鮮やかに証明してくれているといえます.


二つ目は,人間の推理力の素晴らしさです.

ほとんど地球上から出たことがない人類が,

宇宙の端っこからくる微小な光や伝播のみを観測して,

それを元に宇宙全体を知ろうとする.

遙か遠くにある星の構成元素や,目に見えない物体の特性を,

観測データからから論理的に導き出す.

これは,人間の推理力の偉大さが成し遂げていることであり,

傍から見ると,魔法のように見えます.

そして,その論理は未来を予測することまで可能にし,

つまり,それは世界のルールを知ることにほかなりません.

「世界には明確なルールが存在する」

その確信だけで,ここまで科学を発展させてきた人類の推理力は,

本当に偉大なものだと思っています.


宇宙というものに不思議さを感じている人

科学の成り立ちについて知りたい人

人間の偉大さを再認識したい人

すべての人におすすめの本です.

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