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『読書力』斎藤孝

読書力 (岩波新書)
読書力 (岩波新書)


僕は読書が好きです.

心からそう言えます.



昔,ある友達にこう言ったことがあります.

「好きなものは色々あるんだよね.

 格闘技とか,ジョギングとか,水泳とか,筋トレとかも好きだ.

 あと酒を飲むのも好きだな.

 友達とコミュニケーションを取るのも好き.

 映画を見るのも好き.

 あとパソコン関係も好きだな.特にプログラミングとか

 でもね,たくさん好きなものはあるんだけど

 本当に心から好きだと言えるのは一つしかないんだ.

 それが読書.」

この考えは未だに変わっていない.

ついこないだ彼女にこの話をした時も,

「つまんない男」

とあきれられてしまいました.



しかし,事実だからしょうがないのです.

読書だけは,どんなに長い時間でも続けていられる.

同じ本を何時間も読み続けるのは難しいけど,

たくさんの本を同時に読めば,おそらく5冊ほどあれば,

自分なら永遠に読み続けられるに違いないと思います.

それぐらい好きなのです.



いつから読書が好きになったのでしょう?

今から思い返すと,

おそらく小学校の低学年の時のある宿題がきっかけだった気がします.



その時の宿題は,非常に不思議な内容でした.

基本的には読書をしてくるという宿題でしたが,

特に本の種類には指定はなく,

しかも,採点の方法が独特でした.

感想文を書かせるわけではなく,

またそれに対するテストをするわけでもない.

採点方法は単純でした.

そう,読んだ本のページ数のみだったのです.



当時の僕は基本的に学校の授業にはまったく興味は無かったけれど,

その時は,なぜか高得点を取ってやろうと思ったようです.

自分は学校の図書館を歩き回り,

一つの作品で最もページ数が多い作品を選びました.

それが,『三銃士』でした.

三銃士 上 (角川文庫)
三銃士 上 (角川文庫)

三銃士 中 (角川文庫)
三銃士 中 (角川文庫)

三銃士 下 (角川文庫)
三銃士 下 (角川文庫)


自分が読んだ本はハードカバーで,

たしか,上下刊で約600ページ強だった気がします.



当時の僕は初めて本を文字通り貪りました.

布団の上に寝転がり,体勢を変え,たまには座ってみたりする.

そして,一日中読みふけり,作品の世界に陶酔しました.




それから,本を読むのが好きになった気がします.

事実ではなくフィクションとして,

こんな奇抜な話を考える人間を単純に尊敬しました.



よく,本をよく読む人は,現実から逃げていると言われます.

しかし,自分はこの意見に積極的には賛成できません.

確かに,日頃の嫌なことを読書によって,

束の間の間忘れることはできる気がします.



しかし,それは現実から逃げているのではない気がするのです.

二つの世界に同時に存在することができるのだと.

または二つ以上の複数の世界に.

結局は現実に帰って来なければならないことは当然わかっているのです.

ご飯を食べなければならないし,トイレにも行きたくなる.

だから,僕は束の間の旅を読書に求める.

海外を夢見て飛び出す束の間の旅行のように.




高校までは小説ばかり読んでいました.

特に古典と呼ばれる作品ばかりを.

今から思うと,

特に意味があった訳じゃないと感じます.

そこまでの長い期間,その作品が評価され続けている理由が知りたかったし,

時の検閲に生き残った理由が知りたかったのでしょう.

いくつかの作品はその理由を僕に教えてくれたし,

いくつかは結局理解できませんでした.

しかし,いずれにしても,多くの人が自分の妄想の中で生きていることを知り,

自分もその他人の妄想の中で戯れるのを心から楽しんでいました.



大学に入ってからは,哲学や科学の本を読むようになりました.

それも特に理由は無かった気がします.

大学で様々なことを学んだことにより,

それら本の内容が明確に理解できるようになったことも一つの理由だと思いますが,

おそらく,自分はその頃になって初めて

現実について興味が出てきたのかもしれません.

それを人は「大人になる」というのかも知れません.



しかし,それらの本も,ほとんど小説とは変わらないと感じていました.

結局,答えは一つじゃないし,彼らが提案する手法は彼らの人生を経なければ,有効性を失ってしまう.

たとえ,この宇宙が8次元空間の矮小空間だとしても,僕はいつも通り大学に通っていたでしょう.




そんな風にして,様々な本を読んでいた時に,一つ心に残ったことがあります.

それは,一般的に本を書く人はネガティブだということです.

たくさんの本を読んで感じたのですが,

ポジティブな考えをしている本は,ネガティブなもの対して非常に少ない.

特に,古典や名著と呼ばれるものの中には.

悲しみを背負っている人ほど,他人の理解を得たくて,

本を書くのだろうか?とも思いました.

そんな悲しみを僕は読み,吸収し,そして悲しみは連鎖していくのだと思います.

そして,悲しみはどんどん増えていくのです.




今でも読書の習慣は続いています.

最近は特に洋書を読むようになりました.

初めは勉強のためと下心があったのだが,

いまは当初の目的を忘れ,読み続けています.



同じ内容でも,言語が変わると印象がまったく異なるものです.

「国によって,人は変わる.

人種に意味はある.明確な区別が存在する.」

と言ったのは誰でしたっけ?

でも,洋書を読んでいると思います.

おそらくそれは人種ではなく,それは言語だと.




言語が人間を変える.

同じ内容を書いていても,

言語によってその作用は変わるのは必然です.

他人を理解するには,その人の言葉を学ばなくてはならない.

このことを心から学ぶことができました.





斎藤さんの『読書力』の本の話に移ろうと思います.

斎藤さんはまず最初に言います.

読書をしていない人が,読書は必要ないということに対しては特に何も言わない.

しかし,読書をたくさんしてきた人が,読書は必要無いと言うことに関しては怒りを覚える.


僕も同意見です.

自分は正直,読書をしている人が偉いなんてこれぽっちも思いません.

読書をしている人が優秀だとも思わない.

逆に,僕は読書のせいで,多くのもの,例えば時間などを失っている気がします.

しかし,読書が好きな人は

好きな理由を言語化できないにしても,何らかの理由があるはずなのです.

それなのにも関わらず,まるで達観している人のように,

読書をする必要は無いと言うのは間違いだと思います.

僕は他人には読書を勧めます.

しかし,それに対してなにか客観的な意味を見いだす必要はないのだとも言いたい.

所詮,紙を眺めるだけなのだから.

しかし,それがすばらしいのではないかと.




斎藤さんは続いて言う

砂のように過ぎ去って行く毎日が,

しっかりと本という形で具現化するのが好きだ


僕の本棚も年々数を増やしていき,最近は生活に支障が出てしまうほどです.

地震が来たら確実にただでは済まないでしょう(笑).

確かに,増殖する本を見ると,自分の生きてきた時間を確認できます.

そして,当時は入れ込んでいた作品を見て,

当時の自分と今の自分の感情の異なりを感じることができます.

鮮明に覚えているものもあれば,表紙を見てもまったく内容が思い出せないものもある.

この本の数だけ,自分は成長しているのでしょうか?

実感は無いです.

死ぬまでに解ればそれでいいのかもしれない.

しかし,その時にはそんな余裕はないでしょう.

結局,そこにも意味は無いのかもしれませんね.





斎藤さんは言います.

自分の人生よりも悲しい本を読むことにより,元気をもらうことができる


僕も本の影響を受け易い体質です.

もしかしたら,このよう体質の人が読書を好きなるのかもしれません.

まるで麻薬のように.




芥川の『河童』を読んだ時,数日間無気力状態になりました.

すべてがばからしくなり,シニカルになりました.

特に大学受験を控えていたため,その影響もあったのかも知れません.

河童 (集英社文庫)
河童 (集英社文庫)



一方でドーキンスの『利己的な遺伝子』を読んだ時,

一般的とは逆に人間が好きになりました.

そして友と家族が愛おしくなりました.

理由はわかりません. 

利己的な遺伝子 <増補新装版>
利己的な遺伝子 <増補新装版>


僕は本からエネルギーはもらえないようです.

嘘をつかれ,翻弄されるだけ.

でもそれを楽しんでいるのです.



最後に

久しぶりに宮沢賢治が読みたくなりました.

でも,あの本はどこにあるのでしょうか?

本棚を見回しても見つかりません.

銀河鉄道の列車の中にでも忘れてきてしまったのでしょうか?




2012/07/17:修正